Monday, November 13, 2006

摘錄》有桃花的景象

什麼樣的情節?

這個月要介紹岡本可能子的散文<有桃花的景象>。作者在這篇散文中描寫她還小姑獨處時的生活片段。懷春少女的鬱悶心情讓她鎮日病懨懨的,雖然媽媽試圖用飲食療法之類療癒她的心病,始終未能奏效。在這樣的情況下,有一天,她為了解悶,出門去看桃花。在盛開的桃花林中她充分感受桃花之美,沉浸於恍惚的境界,心靈也獲得了撫慰。作者細膩生動的筆觸,令讀者在不知不覺中完完全全融入作品的世界。作者在最後說:人即使有煩惱也應能藉由藝術而得救。你認為呢?▲

*全文請見「階梯日本語雜誌」11月號「閱讀時間」單元



閱讀時間〈本文、有注音〉

※單元說明:本單元於每月第三週發行。每次介紹一小段摘錄文章。(未標示注音之漢字,表示前面已有出現過。)

「桃のある風景」

食欲(しょくよく)でもないし、情欲(じょうよく)でもない。肉体的(にくたいてき)とも精神的(せいしんてき)とも分野(ぶんや)をつき止めにくいあこがれが、低気圧(ていきあつ)の渦(うず)のように、自分の喉頭(のど)のうしろの辺に鬱(うっ)して来て、しっきりなしに自分に渇(かわ)きを覚えさせた。私は娘で、東京端(はず)れの親の家の茶室作(ちゃしつづく)りの中二階(ちゅうにかい) に住んでいた頃である。私は赤い帯(おび)を、こま結びにしたまま寝たり起きたりして、この不満(ふまん)が何処から来たものか、どうしたら癒(いや)されるかと、うつらうつら持て扱っていた。
人が、もしこれを性の欲望(よくぼう)に関する変態のものだったろうと言うなら、或(あるい)はそうかも知れないと答えよう。丁度(ちょうど)、年頃もその説を当嵌(あては)めるに妥当である。しかし、私はそう答えながら、ものごとを片付けるなら一番あとにして下さいと頼む。それほど私には、片付けられるまでの途中の肌質(きめ)のこまかい悩ましさが懐かしく大事(だいじ)なのだから。
母は単純(たんじゅん)に病気だということに決めてしまって、私の変った症状(しょうじょう)に興味を持って介抱(かいほう)した。「お欠餅(かきもち)を焼いて、熱い香煎(こうせん)のお湯へ入れてあげるから、それを食べてご覧よ。きっと、そこへしこってる気持がほごれるよ。」「沈丁花(ちんちょうげ)の花の干したのをお風呂へ入れてあげるから入りなさい。そりゃいい匂いで気が散じるから。」母は話さなかったが、恐らく母が娘時代に罹(かか)った気鬱症(きうつしょう)には、これ等(ら)が利(き)いたのであろう。
色(しき)、聞(もん)、香(こう)、味(み)、触(しょく)の五感覚の中で、母は意識しないが、特に嗅覚 (きゅうかく)を中心に味覚(みかく)と触覚(しょっかく)に彼女の気鬱症は喘(あえ)ぎを持ったらしいことが、私に勧める食餌(しょくじ)の種類で判(わか)った。私もそれを好まぬことはなかった。しかし、一度にもっと渾然(こんぜん)として而も純粋(じゅんすい)で爽(さわや)かな充足を欲した。「もっと、とっぷりと浸(つ)かるような飲ものはない?」「しとしとと、こう手で触れるような音曲が聴き度いなあ。」母は私も遂々(とうとう)、匙(さじ)を投げた。
「男持ちの蝙蝠傘(こうもりがさ)を出して下さい。」「草履(ぞうり)を出して下さい。」「河を渡って桃を見に行くから。」私は必ずしも、男性に餓えているというわけではなかった。渡しを渡った向岸(むこうぎし)の茶店(ちゃみせ)の傍にはこの頃毎日のように街の中心から私を尋ねて来る途中、画架を立てて少時、河岸(かし)の写生をしている画学生がいる。この美少年(びしょうねん)は不良を衒(てら)っているが根が都会っ子のお人好しだった。
私は彼を後に夫にするほどだから、かなり好いてはいた。けれども、自分のその当時の欲求に照(てら)して、彼は一部分の対象でしかないのが、彼に対して憐(あわ)れに気の毒(どく)であった。
茶店の床几(ちゃみせ)で鼠色羽(ねずは)二重(ぶたえ)の襦袢(じゅばん)の襟(えり)をした粗い久留米絣(くるめがすり)の美少年の姿が、ちらりと動く。今日は彼は茶店の卓(たく)で酒を呑んでいるのだ。私は手を振って、尾いて来ちゃいけないと合図(あいず)すると、彼は笑って素直に再び酒を呑み出した。私は堤(つつみ)を伝って川上(かわかみ)の方へ歩いて行った。 ▲


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閱讀時間〈本文、無注音〉

※單元說明:本單元於每月第三週發行。每次介紹一小段摘錄文章。


「桃のある風景」

食欲でもないし、情欲でもない。肉体的とも精神的とも分野をつき止めにくいあこがれが、低気圧の渦のように、自分の喉頭のうしろの辺に鬱して来て、しっきりなしに自分に渇きを覚えさせた。私は娘で、東京端れの親の家の茶室作りの中二階に住んでいた頃である。私は赤い帯を、こま結びにしたまま寝たり起きたりして、この不満が何処から来たものか、どうしたら癒されるかと、うつらうつら持て扱っていた。
人が、もしこれを性の欲望に関する変態のものだったろうと言うなら、或はそうかも知れないと答えよう。丁度、年頃もその説を当嵌めるに妥当である。しかし、私はそう答えながら、ものごとを片付けるなら一番あとにして下さいと頼む。それほど私には、片付けられるまでの途中の肌質のこまかい悩ましさが懐かしく大事なのだから。
母は単純に病気だということに決めてしまって、私の変った症状に興味を持って介抱した。「お欠餅を焼いて、熱い香煎のお湯へ入れてあげるから、それを食べてご覧よ。きっと、そこへしこってる気持がほごれるよ。」「沈丁花の花の干したのをお風呂へ入れてあげるから入りなさい。そりゃいい匂いで気が散じるから。」母は話さなかったが、恐らく母が娘時代に罹った気鬱症には、これ等が利いたのであろう。
色、聞、香、味、触の五感覚の中で、母は意識しないが、特に嗅覚を中心に味覚と触覚に彼女の気鬱症は喘ぎを持ったらしいことが、私に勧める食餌の種類で判った。私もそれを好まぬことはなかった。しかし、一度にもっと渾然として而も純粋で爽かな充足を欲した。「もっと、とっぷりと浸かるような飲ものはない?」「しとしとと、こう手で触れるような音曲が聴き度いなあ。」母は私も遂々、匙を投げた。
「男持ちの蝙蝠傘を出して下さい。」「草履を出して下さい。」「河を渡って桃を見に行くから。」私は必ずしも、男性に餓えているというわけではなかった。渡しを渡った向岸の茶店の傍にはこの頃毎日のように街の中心から私を尋ねて来る途中、画架を立てて少時、河岸の写生をしている画学生がいる。この美少年は不良を衒っているが根が都会っ子のお人好しだった。
私は彼を後に夫にするほどだから、かなり好いてはいた。けれども、自分のその当時の欲求に照して、彼は一部分の対象でしかないのが、彼に対して憐れに気の毒であった。
茶店の床几で鼠色羽二重の襦袢の襟をした粗い久留米絣の美少年の姿が、ちらりと動く。今日は彼は茶店の卓で酒を呑んでいるのだ。私は手を振って、尾いて来ちゃいけないと合図すると、彼は笑って素直に再び酒を呑み出した。私は堤を伝って川上の方へ歩いて行った。▲



中文翻譯

「有桃花的景象」
既非食慾,也不是情慾。難以明辨那是屬於肉體領域或精神領域的一種嚮往,彷彿低氣壓的漩渦一般,一直悶到自己的喉嚨後面一帶,不斷地讓我覺得乾渴。那時我還是個黃花閨女,住在東京市郊雙親家的茶室閣樓中。我把紅色衣帶打上死結,就那樣時而躺下時而起身,昏昏沉沉的,不曉得這種不滿究竟來自何處,也不知該如何才能得到撫慰,束手無策。
如果有人說這大概是和性慾有關的一種變態,我會回答:或許吧。剛好在年齡上套用這個說法也很妥當。但是,儘管如此回答,我還是會拜託對方說:要解決問題的話,請把我擺在最後。因為對我而言,在解決問題之前,過程中細緻的煩惱是如此的令人懷念而且重要。
母親單純地認為我病了,對我特別的症狀興致勃勃,照顧有加。「我來烤年糕片放到熱米榖湯內,妳吃看看!一定能夠化解心裡的鬱卒。」「我來把曬乾的瑞香花放入洗澡水中,你去泡一下!那很香,可以散心解悶。」雖然母親沒有明說,這些對她在還沒結婚之前罹患的憂鬱症大概都發揮過療效吧。
雖然母親並沒有意識到,在色、聞、香、味、觸這五種感覺中,尤其是以嗅覺為主,包括味覺和觸覺在內,似乎會讓母親的憂鬱症喘不過氣來,這一點從她建議我吃的食物種類就可以知道。我也不是不喜歡吃。但是,我想要一次就獲得更完美無缺而且純粹又清爽的滿足感。「有沒有更能讓我整個人浸泡其中的飲料?」「我好想聽淅瀝淅瀝像這樣能用手觸摸的樂曲!」到最後,母親認為我無藥可救,宣告放棄。
「幫我拿男用洋傘出來!」「幫我拿草履出來!」「因為我要過河去看桃花!」我未必是想找個男人作伴。從渡口過河,在河對岸的小茶店旁,有一個學繪畫的學生最近幾乎每天都從市中心前來找我,他會暫時在半路上豎起畫架畫一下河岸的寫生畫。這位美少年雖然一副以不良少年自居的模樣,其實本質上是個老實的都市人。
我相當喜歡他,所以後來才會嫁給他。不過,從我當時的慾望來看,他只不過是我對象中的一部分,我覺得他很可憐值得同情。
這個美少年身穿久留米藍底粗白紋外衣,內衣衣領為灰色紡綢,他的身影在小茶店的矮凳上晃動了一下。今天他是在小茶店的桌邊喝酒。我揮了揮手,向他示意不可以跟著我來,他笑了一下乖乖地又繼續喝起酒來。我沿著堤防往上游的方向走。▲



單字表

1.つき止めにくい:難以查明。由動詞「突き止める」<查明>和接尾辭「にくい」結合而成。「にくい」接於動詞連用形之後表<難以〜;不易〜>的意思。
2.鬱(うっ)して来て:逐漸鬱悶。「鬱する」是<憂鬱;鬱悶>。這裡的「〜て来る」表示某種情況的出現或逐漸改變。
3.しっきりなしに:接連不斷地。副詞。東京方言的說法。通常說成「ひっきりな しに」。
4.茶室作(ちゃしつづく)り:茶室式樣的房間。「茶室」是茶道品茗用的房間,通常只有4個半榻榻米大小。
5.中二階(ちゅうにかい):夾層的二樓;閣樓。
6.こま結び:死結。漢字寫成「小間結び」。
7.うつらうつら:迷迷糊糊;昏昏沉沉。擬態詞。
8.持て扱っていた:難以應付;不知如何處理是好。相當於「持て余す」。
9.当(あて)嵌(は)めるに妥当(だとう)である:拿來套用很妥當。「〜に妥当である」表示<在〜上很妥當>的意思。通常採「動詞連體形+のに妥当である」的形式,將「の」略去是文言色彩較濃的說法。
10.肌質(きめ)のこまかい:肌理細膩的;細緻的。「きめ」<肌理;木紋>的漢字通常寫成「肌理」。「こまかい」是「細かい」。
11.介抱(かいほう)した:照顧(傷患);看護(病人)。
12.お欠餅(かきもち):切成薄片曬乾的年糕,通常炸或烤來吃。也說成「おかき」。
13.香煎(こうせん):米麥等榖類炒後磨成粉狀的食品。類似<麵茶>。
14.しこってる:(肌肉)僵硬;有芥蒂。「しこっている」的簡縮形。(←しこる)
15.ほごれる:(糾結物)解開;(芥蒂)化解;心情變開朗。通常說成「ほぐれる」。
16.沈丁花(ちんちょうげ): 瑞香。原產於中國的常綠灌木。春天開花,花色內白外紫紅,香氣襲人。又唸「じんちょうげ」。
17.気が散(さん)じる:散心;解悶。
18.気鬱症(きうつしょう):憂鬱症。
19.食餌(しょくじ):治療疾病的食物。
20.とっぷりと:這裡用來形容整個物體浸泡在液體中的樣子。擬態詞。通常說成「どっぷりと」。
21.しとしとと:淅瀝淅瀝。形容靜靜下著細雨的樣子。擬態詞。              22.匙(さじ)を投(な)げた:醫生認為不可救藥而放棄治療。片語。
23.蝙蝠傘(こうもりがさ):(雨天用)黑色洋傘。
24.〜に餓えている:渴望〜;渴求〜。
25.毎日のように:幾乎每天。副詞。
26.衒(てら)っている:炫耀;誇耀。(←衒う)
27.根:本質;本性。
28.お人好(ひとよ)し:(容易被騙的)老實人;好好先生。
29.〜に照(てら)して:按照〜;對照〜。
30.憐(あわ)れに気の毒(どく)であった:很可憐直得同情。等於「憐れで気の毒であった」。
31.床几(しょうぎ):長條矮凳;帆布折凳。
32.鼠色羽(ねずは)二重(ぶたえ):灰色紡綢。「鼠色」通常唸成「ねずみいろ」,簡稱「ねず」。
33.襦袢(じゅばん):和服的內衣。早期來自葡萄牙語gibão的外來詞,已經完全融入日語。
34.久留米絣(くるめがすり):九州福岡縣久留米地方產製的藍底白花紋棉布。
35.合図(あいず)する:發出信號;示意。